1人サロンのメニューってどうやって決めたらいいんだろう?実際に開業した人の話を聞いてみたい。
これから個人店を開業するけど、売れるメニューの作り方のポイントがあれば知りたい!
こんにちは、元1人美容室オーナーやぶきまゆこです。
今回はこのような疑問やお悩みをお持ちの方に、「1人サロン開業時に実際に行った売れるメニューの作り方」をご紹介します。
この記事の内容
この記事を書いているのは
■ 都内で8年間1人美容室を経営
■ 顧客0の土地で開業、4年後には予約の取れない美容室に
■ 集客 ⇒ 主に自作ホームページ、ブログ、店前チラシのみ
私は、都内に顧客0の土地で開業し、「1ヶ月前にすべての予約が埋まる1人美容室」を8年間経営していました。
1人サロン開業準備中の方、これから個人店舗の開業を考えている方で「売れるメニューの作り方が知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
それではさっそく解説していきます。
1人サロン・個人店の開業、売れるメニューの作り方3つのポイント
私が実際に1人美容室開業で行った「売れるメニュー作り」をご紹介する前に、まずは「1人サロン・個人店開業の売れるメニュー作りのポイント」を解説していきます。
ポイント① 一番売りたいメニューをひとつだけ作る
売れるメニューの作り方1つ目のポイントは「一番売りたいメニューをひとつだけ作る」です。
なぜ?メニューにバリエーションを持たせた方が幅広い層のお客様に来ていただけるのでは?
こう思う方もいるかもしれません。
しかしまわりの繁盛店を思い出してもらえれば分かるように、人気店というのは必ず「このお店といえば〇〇」という「一番の売りメニュー」が存在します。
ましてや低価格や提供スピードでは大規模店舗にかなわない1人サロンや個人店の場合、この「売りメニュー」が長い店舗経営を支える屋台骨となります。
「〇〇といえばこのお店」と認知されるような、独自の「売りメニュー」をひとつだけ作る
なぜ「ひとつだけ」なのかは次で解説しますが、これから1人サロンや個人店の開業を考えている方はまず「売りメニュー」を何にするのかを考えてみるといいでしょう。
ポイント② 一番売りたいメニューに松竹梅の法則を使う
2つ目のポイントは、先ほど述べた「売りメニュー」に「松竹梅の法則を使う」です。
「松竹梅の法則」とは何か、それはこちら。
「松竹梅の法則」とは…行動経済学における「極端の回避性」とも呼ばれ「三段階の選択肢があったときにたいていの人は真ん中を選ぶ」心理効果のこと
マーケティング心理学の教科書より引用
例えば「松=10000円・竹=5000円・梅=1000円」というメニューがあったときに、人は「竹=5000円」を選びやすいという心理効果のことになります。
この「松竹梅の法則」をあなたの開業するお店の「売りメニュー」にも用いるのです。
「松竹梅の法則」を利用し「売りメニュー」に三段階の価格を設定→ 真ん中「竹」メニューを選んでもらうしかけを作る
具体的な作り方については、後ほど体験談でお話しします。
ポイント③ 一番売りたいメニュー以外はシンプルにする
最後のポイントは「一番売りたいメニュー以外はシンプルにする」です。
せっかく「松竹梅の法則」を用いた「売りメニュー」を作ったのに、他にも目立つメニューがあったらお客様は目移りしちゃいますよね。
「売りメニュー」というのはあなたのお店の代名詞となり、開業後もずっと経営を支えてくれる大切な看板メニューです。
「売りメニュー」以外のメニューはシンプルにして「売りメニュー」を際立たせる
売れるメニューを作るための引き算も意識して、メニュー作りをしていきましょう。
下記記事では1人サロンや個人店の価格設定の決め方についても解説していますので、よろしければ参考になさってください。
1人サロン・個人店の開業、売れるメニューの作り方体験談(準備編)
ここからは実際に私が1人美容室を開業したときに行った「売れるメニューの作り方」をご紹介します。まず準備編では「メニュー作りで意識したこと」を解説していきます。
売りメニューで他店との差別化
私が開業した1人美容室の「売りたいメニュー」すなわち「売りメニュー」は「炭酸泉」を使った「炭酸スパシャンプー」でした。
この「炭酸スパシャンプー」にしたねらいはズバリ「他店との差別化」でした。
ではなぜこれを「売りメニュー」にできると考えたのか?その理由はこちらです。
- 開業した大山エリアの美容室で、「炭酸泉」を打ち出している店舗が当時は一軒もなかった
- 美容業界自体でも「炭酸泉」を導入している店舗数は今より全然少なかった
- 美容業界自体で「ヘッドスパ」が流行り始めていた
このようにまだ他店が導入していない「炭酸泉」を使った「炭酸スパシャンプー」を「売りメニュー」にして「差別化をはかる」、これが売れるメニュー作りの第一歩となりました。
メニューと価格にしかけたこと
「売りメニュー」を「炭酸スパシャンプー」というシャンプーメニューにした大きな理由は、「すべてのメニューとセット売りができ、なおかつ単価を上げることができる」からでした。
そして「売りメニュー」の具体的な目標はこんな感じでした。
- 全顧客の80%〜90%に「炭酸スパシャンプー」をやってもらう
- 毎回通常メニューに「炭酸スパシャンプー」をつけてもらい「客単価+1000円」を目指す
それを達成するために価格設定にしかけを作りました。それがこちらです。
- 「単品価格」ではなく「セット価格」を実際に売りたい価格に設定することにした
- 「単品 ¥2000」「他メニューとのセット価格 ¥1000」と打ち出した
- 「セットだと半額になる=単品よりお得」と思わせるしかけを作った
このしかけによりお客様の心理的にお得感を感じさせ、「毎回炭酸スパシャンプーをオーダーすること」へのハードルを下げることをねらいにいきました。
ネーミングと説明は分かりやすく
① 売れるネーミング
ネーミングを考える際は「メニュー名だけで内容が伝わる」ことを意識しました。
美容業界にありがちな「ヘッドスパ」とか「炭酸スパ」というネーミングは、一見耳障りはいいが「結局何をするのか」伝わらない
これではお客様の購買意欲に働きかけるには弱いと判断しました。
それをふまえたうえで、ネーミングを「炭酸スパシャンプー」とし、「炭酸を使ったシャンプーメニューであること」を明確に打ち出すことにしたのでした。
② 売れるメニュー説明
また、メニュー内容の説明も「炭酸スパシャンプーをやるとどんな効果があるのか」を前面に打ち出すことにしました。
「やらないとき」と「やったとき」の違いを明確に打ち出し「炭酸スパシャンプーをやるメリット」をダイレクトに伝えた
ついつい売る側は「メニューのこだわり」や「手順」などを事細かに説明したくなってしまいますが、お客様が一番知りたいのは「これをやるメリット」です。
そのためにもチラシやホームページ、対面説明でも「効果」をわかりやすく伝えることを意識しました。
1人サロン・個人店の開業、売れるメニューの作り方体験談(手順編)
次の手順編では実際に売りメニューを作った手順をご紹介します。最後に「炭酸スパシャンプー」という売りメニューを作った結果についても解説していきます。
手順① 炭酸スパシャンプーを売りメニューに設定
前述したとおり、私の開業した1人美容室の「売りメニュー」は「炭酸スパシャンプー」というシャンプーメニューになりました。
でも、メニューをただ作っただけでは売れません。
そこから売れるためのしかけを考えていきました。
手順② 売りメニューに松竹梅の法則を用いる
では売れるメニューにするためにどうしたか、先ほどご紹介した「松竹梅の法則」を利用し、シャンプーメニューに3段階の価格設定を作りました。
松 | 竹 | 梅 | |
---|---|---|---|
メニュー名 | 炭酸スパシャンプー アロマコース | 炭酸スパシャンプー | ライトシャンプー |
料金 | <単品> ¥3500 <セット> ¥2500 | <単品> ¥2000 <セット> ¥1000 | <単品> ¥600 |
内容 | <特徴> ・炭酸シャワー使用 ・マッサージシャンプー (ロングコース) ・アロマオイル使用 ・頭皮クレンジング | <特徴> ・炭酸シャワー使用 ・マッサージシャンプー | <特徴> ショートシャンプー (一度洗い) |
所要時間 | 30分 | 15分 | 5分 |
実際にもっとも売れてほしいのが「竹」メニュー、そしてその内10%がいずれ「松」メニューへ移行してもらうこともねらっていました。
手順③ 「竹=炭酸スパシャンプー」を前面に打ち出す
「売りメニュー」は「竹=炭酸スパシャンプー」でしたので、チラシやホームページ、店内ポップなどには「炭酸スパシャンプー」を目立つように打ち出し、それ以外のメニューはいたってシンプルに掲示しました。
また開業1年目は次のことを徹底しておこないました。
来店したすべてのお客様に「炭酸スパシャンプー」で得られる「効果」や「メリット」を口頭で説明した
その結果どうなったか…
結果:炭酸スパシャンプーは1人美容室の看板となった
結果はご覧のとおりです。
- オーダー率→ 開業1年で全顧客の85〜90%に
- 客単価→ 通常メニュー料金+1000円に(目標達成)
- ランクアップ→ 「竹」効果を実感した顧客のうち10%が「松」メニューに移行
さらにこんな効果までありました。
こうして「炭酸スパシャンプー」は私の1人美容室の代名詞となり、最後までお店を支えてくれた看板メニューとなりました。
まとめ:売りメニューはひとつだけ作り「松竹梅の法則」を使おう
私の「売れるメニュー作り体験談」はいかがでしたか?
1人サロンや個人店の「売れるメニュー」の考え方は、大規模店舗とは異なります。
売れるメニューを作るために必要なのは「売りメニューはひとつにする」「松竹梅の法則を利用する」ことです。
この記事が、あなたの経営を支えてくれる「売りメニュー作り」のヒントになりましたら幸いです。