経営している個人店に税務調査の電話がきた!どう対応したらいい?
1人サロンにも税務調査は入る?実際の体験談が聞きたい。
こんにちは、元1人美容室オーナーやぶきまゆこです。
今回はこのような疑問やお悩みをお持ちの方に、「1人サロン・個人店の税務調査体験談」をご紹介します。
この記事の内容
この記事を書いているのは
■ 都内で8年間1人美容室を経営
■ 顧客0の土地で開業、4年後には予約の取れない美容室に
■ 集客 ⇒ 主に自作ホームページ、ブログ、店頭チラシのみ
私は、都内に顧客0の土地で開業し、1ヶ月前にすべての予約が埋まる1人美容室を8年間経営していました。
現在1人サロンや個人店オーナーの方で「税務調査の実例体験談が聞きたい」という方はぜひ参考になさってください。
それではさっそく解説していきます。
1人サロン・個人店の税務調査全体の流れ【体験談】
1人サロンにも税務調査は入る
「1人サロンや個人店にも税務調査って入る?」と思っているそこのあなた。
はい、入ります。
実際に私の経営していた1人美容室に税務調査が入りました。
そこで今回は私の体験談をご紹介しますが、その前にご容赦いただきたいことが2つあります。
- あくまで私の感覚や感想が主体であり専門的な見解には誤りがあるかも
- 数年前の出来事なので記憶が曖昧な部分がある
これらを踏まえたうえで一個人の体験談としてお読みくだされば幸いです。
税務署からの電話
開業4年目の夏、突然管轄の税務署から電話がきました。
そちらに税務調査に伺いたいのですが。
お店の定休日がよろしいかと思うので、◯月◯日はご都合いかがですか?
あまりにも突然で動揺しながらも税務調査の日時が決まり、帳簿類を準備しておくように言われました。
提案された日時ではなく別日に変更できた→交渉は可能
税務調査の流れ
いよいよ税務調査当日、緊張しながら調査官をお迎えしました。
午前10時、まずは軽めな会話から始まりました。
「お一人でやられてるんですか?」
「オープンしてどのぐらい?」
「売上げ見るとけっこう頑張られてますよね」etc..
世間話から始めるのには何か意図があるのだろうと思いながらも、なるべくリラックスして会話するように心がけました。
これはかなり根掘り葉掘り聞かれた印象です。
「家族構成は?」
「自宅は持ち家or賃貸?一軒家orマンション?住んで何年目?」
「車の所有は?何台?誰の名義?」
「美容室までの交通手段、時間、料金は?」 etc..
「隠している財産はないか」「あやしい経費がないか」などを探る意図があったのではないかと思います。
ここでは余計なことを話しすぎないように注意しました。
いよいよ本題に入り、調査官から指摘を受けたのは次の3項目です。
- 申告期限の延滞
- 接待交際費の有無
- 接待交際費の領収書記載方法
調査官とこちらの資料をもとに指摘内容の説明を受けました。
こちらも納得できないものにはどんどん質問や意見を伝えました。
次に、その場で売上伝票、売上日誌、ネット予約表の照合チェックが行われました。
この伝票の商品欄、価格は書いてあるのに商品名の記載がありません。なぜ?商品名は?
忙しくて書き忘れました。〇〇です。
◯月◯日〇〇様の予約表と伝票のメニューが違う理由は?
来店後メニューが変更になったからです。美容室では頻繁にあることです。
このチェックの目的は「売上を抜いていないか、ごまかしていないか、管理がずさんでないか」の確認のためではないかと思います。
最後に過去数年の売上伝票、帳簿類、領収書などを提出し、「昼休憩いらないんですが」という私の一言で13時半には終了しました。
お預かりした資料を持ち帰って調査し、その後お電話で結果をご連絡します。
税務調査の1週間後、担当調査官から携帯に調査結果の連絡がきました。
調査結果ですが売上金は特に問題がなかったので、今回は申告期限の延滞税のみ追徴課税になります。
ご指摘した接待交際費に関しては注意ということで今後気をつけてください。
後日封書が届き追徴課税分を納付し、人生初の税務調査はすべて終了しました。
1人サロン・個人店の税務調査で受けた3つの指摘【体験談】
①申告期限の延滞
1つ目は確定申告書の提出期限の遅れについてです。
これまでに3回、確定申告書の提出が期限後になっています。
これは延滞税の対象となります。
実はこれに関しては自覚があり、ギリギリで確定申告書を作成し申告期限日の夜に税務署のポストに直接投函してきたことが何度かありました。
- 私の勝手な解釈→申告期限日内なら何時に提出でもOK
- 税務署のルール→開庁時間内17時厳守で提出
今まで一度も指摘を受けたことがないし大丈夫だろうと高を括っていたことが、今回明確にNGを突きつけられた形になりました。
②「接待交際費」解釈の違い
2つ目は勘定科目接待交際費の解釈の違いについてです。
指摘された部分はこちら、以下は調査官とのやりとりです。
お店が忙しいときに手伝ってくれた身内や友人の飲食代を接待交際費として計上していた
この人たちは直接売上を作っているわけではないので接待交際費には該当しません。
もし謝礼を出すなら外注費などで対応してください。
その人たちのお手伝いがなければこの売上は上げれていないので、技術売上がなくても売上貢献という点で同じではないのですか?
おっしゃっていることは分かるのですがこれが解釈の違いなんですよね。
うーん…
しかも、開業当初利用していた美容室専門の帳簿作成代行サービスでもこれらは接待交際費に計上されていたのでまさか指摘されるとはとびっくりしました。
それもありこの場では議論となりましたが、調査官は「解釈の違い」の一点張りでした。
③「接待交際費」領収書の件
3つ目は接待交際費の領収書の記載方法についてです。
指摘された部分はこちらです。
飲食代などの接待交際費の領収書に行った人数・名前が書かれていない
飲食代を接待交際費にするときは必ず領収書に行った人数、名前を記載する必要があります。
これが税務上のルールということですね。
しかもここまでの調査官の見解を聞いていて気づいたことがありました。
美容室などのサービス業における接待交際費は厳しくチェックされている
「美容室」「接待交際費」というワードの多さ、それに関しての指摘がかなり目立ち、サービス業の人は注意が必要だと思いました。
1人サロン・個人店の税務調査体験から伝えたい5つのこと
⑴申告期限を守る
当たり前のことですが確定申告書の提出期限は守ることが大切です。
税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
引用:国税庁ホームページより
私みたいにぐうたらな人はそういないと思いますが、申告期限の遅れは半日でも延滞税の対象となります。
確定申告書の作成は余裕をもって取りかかる!
これを頭に入れながら、申告期限前でも提出は可能ですので早めに作成し提出するのもアリだと思います。
⑵書類や領収書はずさんに管理しない
帳簿類・請求書・領収書などもしっかり管理しておくことをおすすめします。
税務調査ではかなり隅々までチェックされるため、きれいにまとめてあると調査官への印象もいいはずです。
私の場合は開業年だけ帳簿作成サービスを利用して帳簿管理のお手本にしていました。
詳しく知りたい方はこちらの記事を参考になさってください。
1人サロンや個人店だとついゆるくなりがちな部分ですが、税務調査をスムーズに進め自分が堂々とふるまうためにも書類の管理はしっかりしておきましょう。
⑶売上をごまかさない
所得税を減らすために売上を抜くのは絶対にやめましょう。
ここは実際の税務調査でもしっかりチェックされた項目でした。
調査官も「個人事業主の方はまれに所得隠しがあるんですよ」と言っていました。
個人事業主は税理士を入れず自分で経理を行っている人が多いため、そこを狙われてる印象でした。
しかし、ばれたときの代償が大きすぎるので売上はきっちり計上しましょう。
⑷余計なことは話さない
税務調査中は余計な話はしないのがベターだと思います。
特に最初は軽い世間話から入るためお話好きな方は注意が必要です。
リラックスさせる目的であっても相手はプロなので話させて粗を探す狙いもあるのでは、と思い話しすぎないように注意しました。
いらぬ疑いをかけられても困りますので「丁寧に対応しつつお話は控えめに」を心がけましょう。
⑸サービス業におけるサービス費には寛大!
最後に調査官がはっきり口にしていたことをご紹介します。
美容室などのサービス業ではサービス費が多いのは問題ないです。
接待交際費もお客様のお店で飲食、買い物とかはOKです。
美容室のサービス費でいえば雑誌やドリンク、ネット予約なども該当しますね。
- サービス費=お客様へのサービス
- 接待交際費=お客様のお店に貢献
つまりこれらは「売上につながる活動経費」として計上OK、調査官のお墨付きです。
1人サロンや個人店オーナーの方はこれを頭に入れながら工夫して経費計上していきましょう。
まとめ:堂々と対応するためにも経理はきっちりと
今回は私の体験談をご紹介しました。
ペナルティは申告期限の延滞税のみですんだものの、当然他に不備があれば莫大な追徴課税の可能性もあったでしょう。
調査官は対個人事業主でもホームページを印刷してくるなどぬかりなく準備をしていました。
1人サロンや個人店に税務調査が入った際堂々と対応できるよう、日頃から帳簿作成や領収書管理などを怠らず備えておくことをおすすめいたします。